実売5000円イヤホンの魅力 final E3000

イヤホンを買い替えようとおもったのは半年ほど前である。
これまで長い間 Westone の Westone 4 というイヤホンを使用していた。
今でこそインフレ化が進み、10万20万のイヤホンもポンポンと発売されているが、BAドライバを低音に2基、中音と高音にそれぞれ1基づつの4基を使用した、当時としてはかなり高額のイヤホンだった。
つまらない音と批判されたこともあったが、あたたかみのあるやさしい音色と、なにより軽い上に装着感がよく、うっかり寝てしまってもだいじょうぶなところも気に入っていた。
とはいえ、5年以上使用していると、そろそろ飽きがくるもので、イヤーチップを変えてみたりして遊んでいたのだが、気になると急に物欲が湧いてくる。
さしあたって10万円前後の予算であれこれネットで評判を探していた。
ところがこれがなかなか決まらない。
評判が良いところから、
- CampfireAudio Andromeda
- UniqueMelody MAVERICK II
- AromaAudio WichGirl S
このあたりをピックアップしたのだが、上記ふたつは10万を軽くオーバーしてしまう。
どちらにしてもこの価格帯なら一度視聴はしないとさすがに二の足を踏む。
そもそも生産量が少ないためか、買うぞという気持ちが盛り上がったときにはたいてい在庫切れだった。
ただそのため、少し冷静になり、そこまでの価格帯のものを購入する価値があるのかと考えることができた。
数千円で買えるものは、価格に比例して品質も向上するのは1万円から2万円くらい、というのがなんとなくこれまでの実体験から感じていおり、そこからはコストパフォーマンスはぐっと悪くなる。
そもそも再生機器がたいしたものではなく、スマホは Xperia Z3 か、DAPはなんとなく衝動買いしたパイオニアの XDP-30R である。
多くのドライバを搭載したイヤホンはそれなりの再生機器を使わないと鳴らしきれない可能性が高いようで、実際にWestone4はスマホでは露骨に音が悪い。
それを考えると、高いイヤホンを買うならもう少しいいDAPを買う必要がありそうだ。
そんなわけでもっと安い価格帯を考えてみることにした。
1万円前後の進化
以前にお気に入りに入れていた、AKGの N40 が安くなっていたのだが、AKGは以前にヘッドホンも含め何度か購入していたので、今回は見送ることに。
そんななか、さらに1万円前後の低価格帯がかなり激戦になっているのを知った。
いくつも名前が上がっていたが、なかでも気になったのが、finalの E3000 と E2000 という実売5000円前後のイヤホンである。
finalは Westone4 を購入したときに名前を聞いたブランドだった。
当時は Final Audio Design という名前だったと記憶しているし、そのときはなんだかキワモノなものばかり作っていてしかもかなり高額という、どちらかというと悪い印象があったのだ。
とはいえ、もう何年も前のことでありずいぶんと評判も様子も変わったようだ。
どちらもダイナミック型のドライバ1基のイヤホンである。
Finalのユーザーの話では、機種によって傾向はかなり変わるメーカーのようで、価格が高ければいいというものではないという。
E3000が音場広めで、E2000はボーカルよりらしい。
そこで今回、E3000の方を購入してみることにした。
ネットでの評判というのはどこまで本当かわからない上に、元々、人による好みの差が大きい製品のため、あまり鵜呑みにはできないが、大まかなことは参考になるだろう。
E2000と両方を購入して比べるという方法もあるだろうが、さすがにそれは及ばないだろうし、5000円強という価格は失敗しても仕方がないと諦められる価格である。
とりあえず、高価格なイヤホンを買う前に、このクラスで最近の技術を体験してみようと考えたのだ。
E3000のレビュー
結果から書くと、この選択は予想以上の大成功だった。
Westone4ではスマホでの再生はかなり悲しいものがあったが、E3000ではしっかりと聞けるレベルだった。
このあたりはやはり時代というか、スマートフォンのような決して恵まれていない再生環境も意識してつくられているのだろう。
あまり大きくないドライバだというが、技術の進化もあるのだろう。
それに開放型のためか横の広がりを感じさせる。
よく聴くものではザッハトルテや小松亮太、最近ではニーアオートマタのサウンドトラックといったところがかなり愉しい。
総じて小編成の演奏を鳴らすのが向いているように感じる。
ただロドリーゴ・イ・ガブリエーラはあまり変化を感じず、ボーカル曲、特に女性ボーカルには物足りない。
焦点が中央に当たるような聴き方では本領は発揮できないのだろうか。
あとはXperiaでは高音がもう少し出ればという不満を感じたことがあったが、これはDAPの性能だろう。
ボーカル曲を聴くには、巷で言われるように E2000 の方がいいのだろうし、女性ボーカルにこだわるなら、CAの Orion のような特化型の方が向いているに違いない。
またオーケストラにも、やはり物足りないが、このあたりは仕方がないのだろう。
音量の取りやすさは普通だろうか?
あまり最近のイヤホンを使用していないので比較ができないが、Westone 4とそれほど変わらないようにおもう。
E3000の外見と付属品
話としては逆になってしまったが、つくり自体やデザインはかなりシンプルだ。
円筒形の筐体はステンレスの削りだしで鏡面仕上げ。目立たないようにブランド名とLとRのマークが入っている。
(ちなみにE2000 はアルミの削りだしでマットブラックで塗装されている)
個人的にこのシンプルさはかなり好みである。
ただ、暗いところでLとRを判別する方法がないので、なにか結ぶなりしておくとわかりやすいだろう。
筐体の背面はメッシュとなっている。
これは背面に低音域を伸ばすための開口部があり、そこからの音漏れを防ぐためにフィルタと、このメッシュのステンレスだと説明されている。
そのためだろうか、少量ではあるが多少、音漏れがしているようだ。
ただ、他人に聞いてもらったわけではないが、あまり気になるレベルではないようにおもわれる。
付属品としてイヤーチップがいくつも入っている。
final のチップは評判が良かったのだが、たしかに個人的にはいい装着感だった。
サイズはLLからSSまで5組も入っているので困ることはないだろう。
今回はSSがちょうどよかったのだが、未だにSとSSのサイズがよく判別できないでいる。
ただし残念ながらリケーブルには対応していない。
ケーブル商法はあまり好きではないとはいえ、ケーブルはあまり丈夫そうではないので、断線の可能性は高いのではないだろうか。
とはいえ、なにしろA5000円であるからこれは仕方がないのだろう。
また寝フォンにも向いていないようだ。
これはやはり Westone 4 がいい。
全体的に Westone 4 と比較して繊細さはさすがに劣るとはいえ、かなり音楽の雰囲気をたのしく聞けるイヤホンだ。
たしかに実売5000円前後のイヤホンは昔とは比べ物にならないほど進化していると実感できる。兄弟機の E2000 や、もう少し価格の高いA10000のイヤホン(RHA や Blue Ever Blue など)も機会があれば試してみたい。
驚くほどインフレ化が進んでいるイヤホンだが、一般的なスマートフォンなどで音楽を再生するのなら、むしろこのクラスの方が向いているのではないだろうか。
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